葉山優奈。高校1年生、初めての恋と初めての失恋を経験した。

私は地元から離れて知り合いが誰もいないこの高校に入学した。クラスに馴染めなかった私に悠介は沢山話しかけて沢山笑わせてくれた。私はそんなあなたにいつからか恋をしていた。

そして月日が流れ、私もクラスに馴染めて友達も出来た。
だが、肝心の悠介との関係は曖昧なままだった。
何度もデートを重ねるけれど私たちの関係は何も進まない。むしろ他の女子とデートをしてるなんて噂もちらほら聞こえてくる。

初恋だったから。
初恋を、この関係を、終わらせたくなかった。

そしてバレンタインが近づいてきた。
今度こそ、私は告白すると決めていた。

お菓子作りが苦手だった私は、友達の紗枝に手伝ってもらいながら頑張って完成させた。

「告白、上手くいくといいな。」
「優奈なら大丈夫。きっと上手くいくよ」

そして、バレンタイン当日。
私は放課後、悠介にチョコを渡すことにした。
誰もいない教室で悠介を待っていた私は緊張して少しでも可愛い私で告白しようと、トイレで淡いピンク色のリップを塗った。

そして教室に戻るとき、カップルが教室に入っていくのが見えた。

「え、悠介?」

男の人が悠介に見えた。見間違いだよね、きっと。

私はそっと教室に近づくと、女の人の声が聞こえた。

「ねぇ、悠介。私ねチョコ持ってきたの。」
「まじ?ちょうだい」

すると女の人はチョコを渡して悠介に抱きついた。

「私、悠介が好き。だから付き合ってほしい」
「俺もだよ。ずっと一緒にいような。」

目の前が真っ暗になり、持っていたリップを落としてしまった。

「誰!?」

2人に見つかった私は、平然を装った。

「あ、お邪魔しちゃってすいません!すぐ帰りますね!」

悠介の方を見ると、とても驚いた顔をしていた。
私は涙が零れ落ちるのを必死で堪え、置いてあったバックを取って教室を逃げるように飛び出した。
私は涙が零れないようにひたすら走り続けた。そして屋上に着くと、必死で堪えてた涙が溢れ出した。
泣いても泣いても涙が止まらずバックを見ると渡すはずだったチョコレートがあった。

私は告白も出来ず初恋が終わったことを実感した。

「もう、最悪。」

諦めるためにも綺麗にラッピングした紙をビリビリに破いて箱を開けた。
中には形は不格好だけど今までで1番の出来だったチョコが入ってた。
私はやけくそになってそのチョコを食べた。

「苦い。けど、、甘い。」

そして私の初恋は終わった。