「待たんかーー!!!」



0時を回った頃、大きな街ユオ に怒号が響いた。
棍棒(こんぼう)を持つ傭兵(ようへい)達は一人の少年を追いかけていく。



「捕まんなよー!」


店じまいをする店主が笑いながら少年に声を掛ける。



「おっちゃんも早く寝ろよー!」


颯爽(さっそう)と駆けていくその少年の名はアル。
暗闇の中では分からないが、街頭に照らされると彼の白銀の髪が煌めいて見えた。



「今日こそは、、っ!今日こそは捕まえてやるからなァ!!」



鬼の形相で走る傭兵に向かってアルはニヤリと笑ってみせた。



「やれるもんならやってみろやい!!」



アルが挑発すれば、傭兵はより顔を(しか)めて追いかけるのだった。