ただの、幼なじみ




「あら!岸田(きしだ)くんかしら?一緒だったのね!」



どうやら、岸田くんと呼ばれた彼は、わたしの影になっていてみんなからは見えていなかったらしい。


その瞬間、クラスメイトの顔が「えっ?えっ?」と興味津々な顔に変わる。



「まあまあ……ふふふ」



先生が口元に手を当てて、上品に笑った。



えっ、なに?なに?



「随分と仲がいいのね……ふふ」



先生を含めた、クラスの視線はわたしと彼の繋がれた手、正確には腕に向いていた。

その瞬間理解する。



「ちっ違いますからっ!
さっき廊下でたまたま会って、たまたま同じクラスだったからであって……!」



バッとお互いどちらからともなく、手を離して、焦った勢いで早口になる。



「ふふふ、良いのよ~」



うう、この先生、優しそうに見えて実は強者かもしれない。


弁解するだけ無駄だ。
なんだか、言い訳みたいに聞こえて、帰ってみんなの好奇心をくすぐるだけだ。


大人しく、自分の席についた。

ツキの後ろ。
何も変わらないなぁ。

隣には初めましての彼。



なんだか、気まずくてお互い顔を逸らした。