あの日溺れた海は、


「藤堂先生って先生じゃん。あり得ない。」


そう顔をしかめて言うわたしに


「だよね〜なんたってはなは初恋すらまだだもんね。」


なんて茶化すように月が言う。

「え、そうなの!?」


月だけにこっそり教えていた事実をあっさりと暴露されたわたしは顔を真っ赤にすると頬を膨らませて月を軽く睨んだ。


「そりゃ恋バナに参加しないわけだ」


「集中してて聞こえてなかったわけじゃないんだ」


「恋バナしないんじゃなくてできなかったんだね」


みんなに好き勝手言われたわたしはふて腐れて部員を押し退けると窓際に設置されている椅子に座った。


窓の外に視線を投げると海と砂浜が見えた。



(先生に後でちゃんとお礼言わなきゃな)



波を立てて迫る海をぼーっと見ながらそんなことを思っていた。