昼食を食べ終えた後、車は再び走り出し、ついに海辺の旅館に到着した。
建物自体は古そうだが、中はリノベーションをしてあるのか、小さいがなかなか綺麗だ。
そんな旅館内にわたしたちは歓声をあげると荷物を置き、早速と海へ行く準備をし始めた。
「早く泳ぎたーい!」
「すごい綺麗だったよねえ」
楽しげな会話を繰り広げながら準備をする月たちとは裏腹にわたしはどんどん顔を曇らせていく。
緊張でさっき食べたばっかのお肉が戻ってきそうだ。
「あれ、はな?準備しないの」
荷物を置いてポツンと固まったように座っているわたしに気づいた彩が不思議そうに声をかけると、わたしはびくりと肩を弾ませた。
「あ…えと、水着、忘れちゃったみたい」
そう眉を下げて演技をするわたしに、ええ、と部員一同が声を上げた。
「ええ!大丈夫?どこか買えるとことかあるのかな…」
喬香がそう問いかけるも、わたしはそれを断った。

