あの日溺れた海は、



「着きましたよ。」

「ここかあ!」


最初の目的地は小さなバーベキュー場だった。


場所だけでなくバーベキューの材料から器具まで貸し出しをしているところで、受付を済ませると丸太でできたテーブルに案内された。


その横には既に火がつけられたバーベキューコンロがセットされていた。


それらに一々感嘆の声を上げているとスタッフがテキパキと食材が入っているカゴを持ってきて準備を始めた。



「…注意点は以上です。またわからないことがあったら聞いてください。」


スタッフは一通り説明を済ませるとそう締め括って何処かへと去っていった。


「おにく!おにく!」

月は勢いよく立ち上がるとキラキラと目を光らせながらカゴの中にあるお肉のパックを手に取った。

それに続いて喬香も「焼こ!」とトングを手にして立ち上がった。

わたしはひとつ大きい欠伸をすると、まだぼーっとする頭のまま一足遅れて輪の中に入った。