あの日溺れた海は、



月の案内通りに山崎さんは椅子にかけると同時に、わたしも自分の机へと向かった。


やはり、その机の上には去年の部誌と、整った文字が綴られた便箋が置かれていた。


『有り難うございました。一昨年の部誌もお借りいたします。毎日顔を合わせてるのですから、早く正体を暴いてみてください。』



しかしそこには肝心のわたしの書きかけの原稿用紙がなく、またそれを借りているという旨も書かれておらず、いつもと同じように丁寧な言葉で煽られているだけだった。



その手紙を手に取って月の方を見ると、月も何となく察したようで無言で頷いてから、「山崎さん、ちょっと待っててね〜!」と部室の外へ向かった。



わたしも手紙を持ってその後に続いた。