あの日溺れた海は、



この香り。



『こんなに近くにいるのに』という言葉。



もしかして千晃ちゃんが…?



「ど、どうしたの?」



困惑の色をより一層深くした千晃ちゃんの表情にわたしは思いきって切り出した。



「千晃ちゃん、その、香り…。」



赤ペン先生なの?と言おうとしたわたしの声を千晃ちゃんは遮った。






「ああ、…もしかして、気づいた…?」


彼女は意味深な笑みを浮かべてわたしを見つめた。
間違いない。彼女が赤ペン先生だ。




でも、どうして?ハッキリ言ってノーマークだった彼女が、わたしの文章を校正してアドバイスをくれる意図が読めないし、そもそもそこまで文学に精通しているのなんて聞いたこともなかった。


いや、能ある鷹はナントカと言うし…