あの日溺れた海は、




「…ふうん。赤ペン先生、ねえ。」



GWを挟んだ休み明け。憂げな表情で手紙を眺めていたらしいわたしに亮が心配して声を掛けてきた。


わたしは最初亮に話すのを迷った。だって、馬鹿だし。でも一つでも手がかりが欲しくて、猫の手の次くらいには借りたい亮のその手を取って話したというのに。


まあまあな声量でそう言う亮の口をわたしは慌てて両手で塞いだ。



「ばか!このクラスにいるかもしれないって言ったじゃん!」


そう声をなるべく顰めて言うわたしに亮は「ごめんごめん。」と頭を掻いた。


「で、これが赤ペン先生の字なのか。」


僅かに声量を抑えた亮の声にわたしはうん、と頷いた。
亮は「うう〜ん。」と、手紙を見つめながら唸った。


「このクラスでこんな字の子いるかな。」


「うーん、わかんね。そんな人の字見ねえし。…でもなあ、ううん。」



そう言うと亮は目を細めて再び唸った。何かを思い出そうとしているような顔にわたしは「何、どうしたの。」と声掛けた。



「なーんかさ…どっかで見たような…。」