あの日溺れた海は、

「あ、これ、部活の鍵ね。それと、今日1年生が見学に来る日だから忘れずにねえ。」



次の日の放課後、職員室でいつものようにおじいちゃんから鍵を受け取るついでにそう言われた。
見学のことなんて頭からすっかり忘れていたわたしは「ああ。」と思わず声を漏らした。



「でも、見学って、何をさせたらいいんですか?」


仮に見るだけだとしてわたしたちが雑談をしながら執筆している様子をただ見ているだけで何が楽しいのか疑問でそうおじいちゃんに聞いた。


「ただ、部活中の雰囲気を知りたいんだって。だからとりあえず椅子にでも掛けてもらって。僕も時間があったらあとで様子見に行くから。」


本当にただ見るだけとは思わず、内心驚きながらも、「分かりました。」と返事をした。


「よろしくねえ。」と手を上げるおじいちゃんに会釈をして職員室を後にすると、真っ直ぐ部室へ向かった。