あの日溺れた海は、


『先程は、強く言ってしまいすみません。寝不足の原因はなんとなく分かっているつもりです。明日の放課後、数学準備室に来てください。明日休むなら明後日でも、いつでも。』


反射的に開いた最後のメッセージがドクンと胸に沈み込む。


藤堂先生からのメッセージだった。


きっと、先生は自分がわたしの気持ちに向き合ってくれないことに憤りを感じていることに気づいているんだ。


だからちゃんと断るってことなんだ。


ああ、わたしは明日正式に振られるんだ。


気持ちに向き合ってくれないことに嘆いていたわたしなのに、いざ振られるとなると温かい言葉でいっぱいになっていた胸の中が急激に冷えて嫌な心臓の高鳴り方がする。



先生がわたしの気持ちに向き合うとき、それはわたしも先生の素直な気持ちに向き合わなければいけないとき。


いつまでもわたしの書きかけの恋愛小説のように最終章から目を背けることはできないんだ。


ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか白黒つけなければ終わらない。


わたしは揺れる心を押さえてそのままメッセージ画面を閉じて携帯をベッドフレームの縁へ置いた。