『芹沢先生は学会で暫く留守にしております。』
受話器の奥でそう言う女性の声は冷たく感じた。
わたしは「わかりました。」と言って電話を切ると深くため息をついた。
芹沢先生に薬を処方してもらえれば、夜に眠ることはできるし、そうすれば今日みたいに倒れることもなくなるだろうと思ったのに…。
それがなければもうわたしは何もできない。
小説を書くこともできない。
じわりと涙が滲んだ。
わたしは、何のために生きてるんだろう。
先生を好きになって、その先生には気持ちに向き合ってもらうことすら許されなくて、
先生のことを忘れようと必死になって書きかけの小説を書いて、
亮の心配も無下にして、月からの誘いも断って、
夜が寝れなくたって、ただがむしゃらに書いて、
結局こうしていろんな人に迷惑をかけた挙句、心が空っぽになってしまって全てにおいて無気力になってしまった。
なんか、もういいや。
こんなことで簡単に心が折れてしまう自分に失望して、さらにどうでもよくなった。
そのままベッドに倒れこむと、目を瞑って、すべてをシャットダウンした。

