あの日溺れた海は、


驚いて先生の顔を見ると、信号待ちだったからか先生もわたしの方を向いていて、一瞬でコンクリートに視線を戻した。


寝れないのは誰のせいなのか、わかっていってるんですか。


喉まで出かかった言葉を慌てて飲み込めば喉は灼けたように熱くて痛んだ。


わたしが無言を貫いていると、先生はふうと息を吐きだ出した。


「倒れるまで寝不足を放置しないでください。」


そう吐き出した先生の言葉に心がもっと叫んだ。


そうせざるを得なかったのは、誰が原因だと思ってるんですか。


わたしがどんな思いでこの手を止めまいと、
小説家という夢だけは離さまいとしがみついていたのかわかってるんですか。


それとも気づいていないふりですか?
わたしにどこまで意地悪をすれば気が済むんですか。


わたしのことが憎いんですか?

わたしは小説家という夢にまっすぐ向かっていける恵まれた子だから、憎いんですか?


その言葉の代わりに、涙が一つこぼれた。わたしは知らないふりして拭うこともせずただ目を伏せた。




先生が憎い。

それなのに、嫌いになれない。