あの日溺れた海は、


目を開けると、見慣れない白い天井が視界を占めた。


左右に首を振って周りを確認した。


薄ピンクのカーテンに囲まれたベッド、遠くに聞こえるチャイムの音、おそらくここは保健室だ。


そうか、わたし、1時限目の体育の授業中に倒れたんだった。


ひとまず起きて何時なのか確認したいと思ってむくりと起き上がって、カーテンをゆっくりと開けた。


その物音でわたしが起きたことに気づいたのか、保健室の先生は「あら、起きたの。」とベッドへと駆け寄った。


「あ、はい、すみませんでした。」と返しながら時計をこっそり見ると、13時を指してた。


もう午前中の授業は終わってしまってる。早く教室に戻らないと、と立ち上がろうとすると、先生に止められた。


「井上さん、ちゃんと寝れてる?」


まっすぐわたしの目を見てそういう先生に、わたしは思わず目を逸らして曖昧な返事をすることしかできなかった。

先生は少しため息をついてつづけた。


「何か不安なことがあるの?眠れないの?」


そう質問を投げかける先生にわたしはうつむいて無言を貫くことしかできなかった。


「…言いたくないなら無理強いはしないわ。でも無理はしないで。今日はお母さまに迎えに来てもらって、帰ろうか。」


「ありがとうございます。」


わたしがそう言うと先生は優しい笑顔を返した。そして先生は職員室に電話を掛け始めた。