あの日溺れた海は、


「今は、進路面談でしょう。関係ないことは慎んでください。」


そう淡々と吐き捨てられた先生の言葉が氷の矢のように冷たく鋭く心に突き刺さった。


わたしはやっとの事で出た掠れた声で「はい、」と答えた。


そして荷物を手にして「ありがとうございました。」というと足早に教室を出た。




心がぐちゃぐちゃだった。それでも歯を食いしばって廊下を走った。

馬鹿だ。こうなるってなんで想像できなかったんだろう。

もしかしたら、ってなんで思ってしまったんだろう。


「はなっ!」


昇降口に着いて靴を手に取った瞬間、廊下の方から亮の声に呼び止められた。


どうにかしていつもと同じ笑顔を作ろうとした。


でも笑顔になろうと思えば思うほどわたしの口はへの字に曲がって、眉間にはしわが寄って、目には涙が溜まった。


来ないで、こんな顔見られたくない、お願い

心の中でそう願っていてもその足音はどんどん大きくなっていく。