あの日溺れた海は、


新学期三日目の放課後、『進路希望調査』と書かれた紙を手に嘆く亮に、隣にいた姫乃も同調した。
 

「あたしも。亮くんに永久就職する、しか思い浮かばないなあ」
 

そう言って亮に熱い視線を向ける姫乃に2人して苦笑した。
 

「いいよな、はなは夢があって。俺にはなんにもないよ。」
 

そう不貞腐れたように言う亮に、「あたしがいるじゃん!」と必死に訴える姫乃を無視してわたしは口を開いた。

 
「そんな大事に考えなくていいと思うよ。将来なりたい職業とかじゃなくても、大学に行って学びたいこととか、大学生になってもやりたいこととか。」
 

そう言うわたしの言葉に2人は揃って「おー」と感心の声をあげた。


「真面目な話、あたしは素敵な花嫁になりたいから、料理とか?でもコスメも好きだし、美容系の専門もいいかも。」
 

姫乃は目をキラキラさせながらそう言った。


「俺はなあ。…でも何かしら運動してきたわけだし、これからも続けたいかなあ。」
 

亮は顎に手を添えて悩む仕草をしながらそうつぶやくように言った。