「華はなかなか自分の気持ちを言わないし、これが好き、これは嫌い、とかそういうのもあんまり聞いたことないから…例えば食べ物とかでもさ、嫌いな食べ物もなければこれが一番ってのもないだろ?
だからこそ胸を張って『好き』って言える気持ちは大事にして欲しいし、相手に主張するべきだとおもうんだ。」
そう言う亮の横顔はいつにもなく真剣な眼差しだった。亮の言葉一つ一つがわたしの背中を押す様に胸に響く。
「それで駄目だったときは…俺がどうにかしてやるから!な。」
…あ、俺はドラッグストア行かなきゃだから、ここで。じゃ、良いお年を〜!」
亮はそう言うと手を振りながらドラッグストアがある方向へ歩いて行った。
初めて見た時よりも随分と広くなった背中。
わたしも「じゃあ。」と返して、スーパーへと歩き出した。
年の瀬の冷たい風が前髪を浮かせた。

