あの日溺れた海は、


「うわ!ケーキおいしそっ」
 
 
箱を開けて中に入っているケーキを取り出すと、月がそう声を上げた。

他の部員たちも「すごーい」「おいしそう」と次々に声を上げた。
 
 
「ケーキ切ろっかあ。」
 
そう言うと彩は家から持ってきたペーパーナイフを取り出した。

しかしケーキに触れる寸前でぴたりと手を止めて「うーん」と唸り始めた。


「なになに」「急にどうしたの。」と他の部員が言うと、「ケーキを5等分ってむずかしいわね。」と手を顎に当てながらケーキを見つめてそう言った。
 

「確かにね。…じゃあ六等分にしておじいちゃんとかにあげればいいんじゃない?」
 

月がそう提案するとわたしたちは「確かに」と口々に言った。

彩もうんうんと頷いてケーキを6等分に切って、一切れずつ紙皿に乗せていく。
 

「おじいちゃんには後で持ってけばいいよね。」ということになり、机の上に残りのケーキと使い捨てのフォークを乗せたまま、パーティが始まった。