「えー、うちも教えてもらいたいなあ。」
少し高めの声が廊下に響くと先生は一気に顔を引き攣らせた。
その反応でその声の主が誰だかなんとなく想像がついた。
そしてそれを確認するとやっぱりな、と心の中でこっそり呟いた。
「あんた誰?」
月がいつもより低い声で声でそう彼女に聞いた。
「あー。寧々ちゃん、だっけ。」
彼女が名乗る前に姫乃が思い出したかのようにそう言うと、清河さんは「うん!」と元気一杯に答えた。
「うちも数学苦手だから司先生に教えてもらいたかったんだあ。」
エヘヘと笑いながらそう言う清河さんに月は眉を顰めて警戒心を剥き出しにした。
「ねっ、井上さん、いいよね?」
「えっ」
突然振られて驚嘆の声をあげると、清河さんはキラキラした笑顔で「ね?」とダメ押しをしてきた。
わたしの性格上、こうお願いされると断ることができなくて、結局「うん…。」と答えてしまった。
その途端ジャンプして喜ぶ清河さんの横で月の厳しい視線を感じて苦笑いを返した。

