あの日溺れた海は、


 
3日目はクラスで大阪観光をした。


初めて見た大阪城に圧倒されたし、先生が着ていた黒のタートルネックは先生の為に作られたのではないかと思うほど似合っていたし、グランド花月ではお腹が捩れるほど笑ったし、そんな中真顔でステージを見つめる先生の横顔が綺麗すぎてときめいたりもした。
 

 
武田さんは「井上って4文字で長いのよ!華って呼ぶわ!」と言い、「華も姫乃って呼んで。あたしばっかり名前呼びじゃ何かいじめてるみたいじゃない。」と名前呼びを強制された。


何処か振り切れて素で接してくれる武田さん…姫乃が嬉しかったし、素の姫乃の方が人間味があって面白くて好きだと思った。


ちょっとツンデレっぽいところが可愛いし。
 
 
少しだけ、本当の姫乃に近づけた気がして嬉しかった。
 
 


4日目の最終日の朝。学年全員で海遊館へと向かった。
 

今日の先生は紺のVネックセーターに黒のスキニーパンツ。脚のラインが綺麗に浮き出てスタイルの良さを強調させていた。
 

12:00までにバス集合、とだけ告げられて、自由行動になる。

弾けたようにパラパラと水族館内へと向かっていく。私もその中の一人になった。

 
「やっほー!華ー!…と武田さん…。」
 

入り口でわたしを待ち構えていた月はその隣に姫乃がいることを確認するとわかりやすくしかめっ面になる。
 

「なあに、その顔。失礼ね。」
 

「はあ?あんただって変な顔してるじゃないの。」
 

「変な顔って…!あり得ない!行こ、華」
 

そう言って姫乃は私の腕を掴んでぐいっと自分の方に引き寄せた。
 

「何馴れ馴れしく名前で読んでんのよ!華は私といくの!」
 

月も負けじと反対側の腕を掴んで引っ張る。
 
その様子を伊東さんはあわあわと見ていた。
 

「ちょ、ちょっと、ちぎれる!わたし真っ二つになっちゃう!」
 

「なんなら2つになれば!いいのにっ!」
 

「そうよ、華が2つになれば!この女とも!顔合わせなくても済む!」
 

制止のするためにやっとのことで叫んだ言葉も、二人の引っ張る力に拍車をかけるだけだった。
 
と、その時。