あの日溺れた海は、


 
 『今どこにいる?話がしたい』
 
そう亮から送られてきたメッセージ既読をつけぬまま、夕方になっていた。

他の班の人たちも帰ってきたのか廊下が徐々にざわざわとし出す。


武田さんとひとしきり泣いた後、わたしは部屋に戻って夕食の時間まで保健の先生にこっそり借りた保冷剤で目を冷やしながら待っていた。

なんとなく一人になりたかった。
 
本当は亮と会って謝るべきなのに、どんな顔をして会いにいけばいいのかわからなかった。
 
それに泣いてパンパンに腫れた目で会いに行ったら、また亮に気を遣わせてしまう。
 


 
「あ、華ちゃん先にいたんだね〜おつかれ〜!」
 
同室の星香ちゃんが帰ってきて、慌てて保冷剤を机の下に隠して「おつかれ」と何食わぬ顔で返した。

星香ちゃんは疑うこともなく「楽しかった〜」とお土産を片付けていた。