「あたし、欲しいものを手に入れるならなんでも出来るの。仮病だって使うし、嘘泣きだってできるし。だから今まで話したことのない井上さんにだって近づけた。…でもね、亮くんに怒られちゃった。
井上さんは優しいし、人に頼られることなんて滅多にないから頑張りすぎちゃうんだって。嫌だと思っても、うまく感情に出すことができないから一人でしんどくなっちゃうんだって。
『なんとなく武田さんと俺が一緒にいれば華にとってしんどくはないんだと思って、わざと華から離れて一緒にいたけど、ごめんね、もう俺もしんどいかも。
武田さんのことはクラスメイトとして好きだし、仲良くなりたいけど…』
「好きな人にそんなこと言われたらさ、もうどうしようもないじゃん。あたし。そんなに亮くんが井上さんのこと好きだったらさ、勝ち目ないじゃん。」
ドクン、と胸が鳴った。
亮が、わたしのために、わざと…?
ぽろぽろと暖かい涙が流れてきた。
自分のエゴで亮を突き放したわたしに、わたしのためを思って武田さんと一緒にいてくれたなんて。
自分のことしか考えてない自分が恥ずかしかった。
亮の優しさが胸の中で溢れて止まらなかった。

