「…ごめん、華。」
ガタゴトとバスが揺れる音だけが響く中、隣に座った月がぽつりとそう言った。
「私、華のことが好きだよ。…友達としてね。華がすごく優しいから武田さんのお願いを断れないのも知ってる。けどさ、だからって亮くんに嫌われてもいいの?」
「華は武田さんのために、10何年も一緒にいた亮くんを失ってもいいの?」
亮を、失う…。
今までなんだかんだあってそばにいてくれた。
トラウマを抱えたって、わたしが泳げなくなったって、パニックになって目の前で吐いたって、亮はそばにいてくれた。
LINEを返さなくなって、ちょっと強気に言ったって、何をしたって笑ってくれた。
今回だって、いつかは亮から折れてくれるかななんて甘い考えしかなかった。
でもそうじゃなきゃ一生仲直りできないかもしれない。
武田さんはわたしと亮の仲を利用して、って月は言ってたけど、それでもいいって思ってたわたしが亮との友情を利用して八方美人を振りまいている。
一番最低なことをしてる。
わたし最低だ。

