あの日溺れた海は、


「ね、ね、藤堂先生に買っていってあげようよ!お土産!」
 
 
そう月が提案した。わたしは自然と頷いていた。
 
どんな顔して受け取ってくれるかな。笑ってくれたらいいな。
 
班の子達に断りを入れて、月と割り勘してキーホルダーを購入した。そして月はキーホルダーを受け取ると「はい」とわたしの前に差し出してきた。
 
「え?」
 
「華が渡しといて!副担任でしょ?よろしくね!」
 
呆気に取られてるわたしの手に半ば強引に握らせると足早にみんなの所へ戻っていった。
 
わたし1人でわたしなんて緊張する…月もついてきてよ…。
 
そう言ってもこういう時の月が全く聞き入れてくれないことを知っていた。
 
 


「お待たせー!…って武田さんと亮くんは?」
 
伊東さんと谷くんしかいないのを見て月が不思議そうにそう言った。

わたしはこっそり伊東さんと目を合わせた。
伊東さんも苦笑いを浮かべながらこちらを見た。