背の高い先生は座っていても座席から頭が飛び出てる。そんな先生の黒く艶のある髪の毛をまじまじと見つめていた。
「藤堂先生ってさ、髪の毛綺麗だよね。」
そんなわたしに気づいているのかはわからないが、星香ちゃんがこっそりと耳打ちをしてきた。
「だね。艶があるよね。」
わたしも小声で返した。
「藤堂先生ってさ、彼女いるのかな。」
そう声を潜めて言う星香ちゃんに、どきりとした。
「いないよ!」と言うのも違う気がして先生の後頭部を見つめながら「どうだろうね。」と適当に濁した。
その後は星香ちゃんと他愛のない話をしているとあっという間に新幹線に乗り換える駅へと到着した。
荷物を持って新幹線へと乗り込むと事前に決めてあった席に座った。
わたしはそのまま星香ちゃんと隣同士になって席を回転させて他の子と4人で他愛のない話をしていた。
こっそり先生の様子を覗くと少し離れた先頭の3人がけの席の通路側に校長先生と学年主任と話していた。
いつも以上に気だるそうな先生の表情にくすりと笑っていると、先生とバチリと目があった。
慌てて反射的に目を逸らす。
どき、どき。
訳の分からないほど一気に緊張が襲う。
それでも勘違いかもしれないと、もう一度恐る恐る先生の方を見ると、先生はしっかりこちらを見ていて再び視線が絡まった。
驚いて視線を逸らせずにいると、先生は何かを訴えかけるようにフッと笑った。
明確にわたしに向けられた笑顔に、どんな顔をしたらいいのか分からなくて、ぷいっと赤くなった顔を背けてしまった。
本当は可愛い顔ではにかんだり、じっと見つめたりするのがかわいいって分かっているのに、わたしはただ可愛げもなくそらすことしかできない。
自分に嫌気がさして少し俯きがちにそんなことを考えていた。

