あの日溺れた海は、


「っていうかー先生って彼女いるんですかー?」
 
 
3人で月のクラス向かっている途中、突然の質問に私は驚いて目を見開いて月を見た。

先生はいつもとなんら変わらない様子で「いないですよ。」とだけ答えた。
 
 
「えー!意外!っていうか『なんで言う必要があるんですか』とかあしらわれると思ってたのに、先生意外と素直ー!」
 
 
先生の声真似をしながらそう言う月にふふっと笑いながらも、内心正式に彼女がいないことを知れて浮き足だった。

ちゃんとした恋愛をしたことがないと聞いていたけど、だからといって彼女がいないっていうわけでもないし、いたらどうしようと、不安だった。
 
いないから、どうこうっていう話じゃないけど、ひとまずほっと息をついた。
 
 
でも月がそんな話を先生に振るなんて。ただの話題作りの一環かもしれないけど、もしかして…。
 
 
いやいや、と現実から目を背けるように首を振って頭の中からその考えを消し去った。
 
 
「センセーってこんなイケメンでモテそうなのに、意外だよねー、ねえ、はな!」
 
 
「えっ、う、うん!」
 
 
急に話を振られて勢いではあるけど先生をイケメンだと思っていることを本人の目の前で肯定してしまったことが恥ずかしくて廊下をじっと見つめて歩いた。
 
 
「はなもこんなまで彼氏どころか好きな人も出来たことないんですよー、こーんな可愛いのに、ねえ、センセ」
 
 
そう言いながらわたしに抱きついて頬を抱き寄せる月の言葉に「ん?ああ。」と適当に返す先生。

 
そんな先生に「やだー!華のこと可愛いだってー!!」とキャッキャとはしゃぎながら言う月に恥ずかしくなって何も言えなくなっていると月のクラスについた。