あの日溺れた海は、


「わたし、近藤先生に言われてたコンテスト、出すのやめてしまったので。先生にも色々取材したから申し訳ないんですけど…」
 
 
「そうなんですね。逆に変なプレッシャーをかけていなかったか心配でした。…無理して書くものじゃないですからね。健康第一ですよ。」
 
 
なんとも思っていないようにさらっと気遣いと心配の言葉をかける先生に気持ちが溢れてしまいそうになる。
 
 
好きだ。
 
 
でも私はまだ恋の話を書けるほど自分の状況を客観視できていない。

ただ急に胸が痛くなって、苦しくなって、かと思えば幸せな気持ちになって、泣きたくなって。

自分の情緒がわからない。

どうしたらいいのかも、どこに向かっていくのかもわからない。
 
ただずっと近くにいたい。
あわよくば先生の全部を知りたい。

そしてもっと欲を言えば先生にわたしだけを見てもらいたい。なんて。
 
 
他愛のない話が続く中でそう思っていると