あの日溺れた海は、


 
修学旅行の班決めから2週間とちょっと。わたしの学校では文化祭が開催された。
 
 
わたしたちのクラスはカフェをやるようだった。

わたしは文芸部の一員として作品を仕上げるのに必死で準備に参加するどころではなかったけど…。
 
 
そして今も月と2人でほとんど人が来ない文学部のスペースで店番をしていた。
 

お店といっても、私たちがこの日のために書き上げた作品を一冊の本にして部誌として無料配布しているだけだけど。
 
 
 
「そろそろ彩と玲が来る頃だよね。華はどこ回りたい?あ、てか、斎藤くんは?一緒に回らないの?」
 
 
「わたしはとにかくお腹すいた〜。亮は武田さんと回ってる〜」

 
 
「ええ!?…華って本当に優しすぎるわよ」
 
 
「そうかな?別に亮と回らなくたって、月と回った方が楽しいし」
 
 
そう言うと月は嬉しそうに笑いながら「このー!」と言って抱きついてきた。
 

わたしも笑いながら「なによー!」と、照れ隠しで言った。