あの日溺れた海は、


藤堂先生、なの。
 

そう言って月は受け入れてくれるだろうか。

もし気持ち悪いなんて言われたら、否定されたら。
 

月ならそんなこと言わず受け入れてくれるだろう。

でも、まだ心の準備ができていなくて、結局押し黙ってしまった。
 
 
月はふう、と息をつくと、「まだ言えない?」と優しく言った。

わたしは目を潤わせながら静かに頷いた。
心の中でごめん、と言いながら。
 
 
月はわたしの頭を撫でると「大丈夫だよ」と笑って言った。その優しさにポロポロと涙が溢れた。
 
 
「大丈夫、大丈夫。初めてだもんね。戸惑うよね。華が言えるまで、待ってるから。」
 
 
わたしをふんわりと抱きしめると月はそう言って背中を撫でた。
 
 
ありがとう、月。