あの日溺れた海は、


 
「…つまり、特に仲良くもない女の恋を応援するために同じ班になったってこと!?…はあ、もー、華ってお人好しすぎる。」
 
 
しかめっ面で大きくため息をつく月に「ごめん」と小さく呟いた。
 
 
「もういいけどさー。あー、齋藤くんって本当、モテるのね」
 
 
 そう言うと月は天井を仰いだ。「そうだねえ」呑気にそう返すと「華はさ」とこちらに向き直った。
 
 
「正直斎藤くんのこと…好きじゃないの?恋愛的な意味で。」
 
 
 月があまりにも真剣な顔でそう言うもんだからわたしは呆れた顔を返した。
 
 
「ないない。亮は親友だけど、それ以上の感情はない。」
 
 
 命の恩人でもあるし、感謝してるし、他の人よりもお互いに信頼し合ってる。と思ってる。

でも、やっぱりそれ以上はない。それにわたしは…。

そう思いかけて恥ずかしくなって打ち消した。
 
 
「でもさ〜…最近なんか華綺麗っていうか、満たされてるっていうか…なんかちょっと変わった気がしたからさ。好きな人でもできた?」
 
 
 その言葉に顔が強張っているのが自分でも分かった。そんなわたしの様子に月は「やっぱできたんだ〜!だれ?」とはしゃぎながら聞く。