あの日溺れた海は、


 
「おはよ、はな…と、武田さん…?」
 
 
その時ちょうど汗だくの亮が教室に入ってきた。

10月ももうすぐ半ばなのに朝練終わりの亮の周りには熱気が溢れてる。
 
武田さんは少し上気した顔で亮に小さく「おはよう」と言った。

そんな武田さんには気づかず、亮は「そういえば」と、わたしの方に向き直るとそのまま続けた。
 
 
「今日の5、6限って修学旅行の班決めだろ?はな、一緒の班になろうぜ。お前、…なんだっけ、あの有名な城…」 
 
その亮の言葉に武田さんが微かに反応した。

わたしは呆れてため息を吐きながら「名前も思い出せないくせに行きたいって何よ。」と突っ込んだ。

 
 
「とにかく、いいだろ。別に他に行くやつ決まってないだろうし」
 
 
「失礼な。月とかいるし。」
 
 
修学旅行の班はクラスを超えて編成することが許されている。

わたしは一年の時から月と一緒に組むことを約束していたのだ。