あの日溺れた海は、

「なんか勝手に書いてあって、この机上に置いてあったの。この字、誰の字か分かる?」


そう言うとみんなは困惑の声を上げた。どうやらこの整った字に見覚えはないらしい。


「まあ、うちらじゃないよね。友達にもこんな字はいないな~。」


喬佳がそう言うと、彩加と月も頷いた。


「わたしもこんな字の子、わからないわねえ。」


「うん。先生でもこういう字の人見たことないよね。」


その言葉にわたしも「だよね。」と返して「それにね、仄かに香水の匂いがするの。」と続けた。
月は「ええ?」と訝しげな表情を浮かべながら原稿用紙に鼻を近づけて、暫くすると「ああ。」と小さく声を上げた。