あの日溺れた海は、



 
 
 待ち合わせ場所の駅前に行くと既に亮が立っていた。すらっとした体型にネイビーのシャツとテーパードパンツが映えてる。
 
 
「亮、お待たせ」
 
 
「お、おう」
 
 
 亮はわたしを見るなり少しぎこちなく笑った。見慣れないわたしのワンピース姿に戸惑っているのか、目が少し泳いでいたような気がした。自分が着てこいって言ったのに失礼な。
 
 
 
 映画の時間があるから、と私たちは早速映画館へ向かった。
 
 
 亮が観たいと提案してきたのは今話題の恋愛映画だった。普段だったら観るジャンルではないけどこれも何か得るものがあるかもしれないと了承した。
 
 
「意外だね、亮ってこういうの見るんだ」
 
 
「俺だって、恋愛映画くらい観るよ」
 
 
 何気なくそう言うと彼は少しムッとした様子で答えた。亮は昔からモテるが浮ついた話は一切聞かない。だからこのデートという名の取材を提案した時も内心驚いた。
 
 
 同時にそこまでわたしのことを思ってくれる友達を大事にしなきゃなという気持ちになった。