あの日溺れた海は、


 
 
「…で、俺にも聞いてんの?」
 
 
 ある日の放課後、亮を呼び止めて駅前のカフェに誘った。亮は昔からモテるからきっと恋愛についても詳しいだろう。そんな安直な考えで亮に経緯を話した。
 
 
「うーん…難しいな」
 
 
 向かいの席に座る亮は腕を組んで何かを考えながらそう言った。
 
 
「それに俺が言ってもまだ恋したことねえはなには理解が出来ねえだろ」
 
 
 確かにその通りだと、弱々しく頷いて、机の上に項垂れた。
 
 
「今度の日曜日、空いてる?」
 
 
 唐突にそう聞かれると予定が入ってなかったか少し考えて「空いてるよ」と答えた。
 
 
「じゃあデートしよう」
 
 
「…はあ!?」
 
 
 亮の思わぬ言葉に口に含んだココアを吹き出しそうになりながらもそれを飲み込むと、訳がわからないといった表情で亮を見つめた。