あの日溺れた海は、


「コンテストに出てみないかって言われて。まあ作品の幅を広げたいし…何事も経験かなって」
 
 
 先程おじいちゃんが言ってた言葉をそっくりそのまま借りて3人に説明すると、ふうん、そう。確かにねえ。と納得したようだった。
 
 
「でも、全然想像がわかなくて。…恋するってどう言う気持ち?」
 
 
 わたしがそう言うと4人は顔を見合わせるとニヤリと笑ってこちらを見た。
 
 
「私は〜…その人を見るとドキドキして胸が痛くなるの」
 
 
 まるで誰かを思い浮かべるかのように虚空を見つめながら月がそう言うとそうそう!と他の部員も同意した。
 
 
「私もドキドキするし、会いたい!って思うしわけもなく電話したくなる!」
 
 
「そうねえ。その人に触れたくなったり、触れたところからビリビリ電気が走るような感覚があったり…キスしたくなるの。」
 
 
 彩が艶っぽい表情でそう言うと、わたし含めて他全員がおお〜と感嘆の声を上げた。
 
 
「玲は?」
 
 
「私は…好きな人が悲しい顔をしていると抱きしめたくなる。泣いていたら、ただそばにいたくなる」
 
 

「へえ…」
 
 
 そう悲しげに呟く玲の言葉に思わず言葉が漏れた。そんな感情、わたしにはまだ想像すらつかない。
 
 
 書くと決めたはいいものの既に雲行きの怪しさを感じて眉間に皺を寄せるわたしを励ますように彩が「まあ、華も本当の恋をすればきっとわかるよ」と言いながらぽんぽんと肩を叩いた。