あの日溺れた海は、


 わたしが参加するのは午前中の真ん中頃に100m走、あとは午後にクラス対抗の大縄跳び、玉入れだけ。


 グラウンドで準備を始める生徒たちをぼーっと見つめていると緑色のTシャツを着た月がやってきて空いていた隣の席に座った。
 
 
「おはよ〜」
 
 
「おはよ。暑いね〜
 …先生たちばっかずるいな、あんなテントに中に入って」
 
 
 そう言いながら喬香が指をさした方を見ると大きなテントの中に設置されたパイプ椅子に先生たちは腰をかけていた。
 大人ばっかりずるいなあ、などと膨れながらぼやいている月にわたしも苦笑した。
 
 
「あ、藤堂先生だ!
 青いTシャツ着てる〜」
 
 
「うちのクラス青組だからね」
 
 
「意外とちゃんと着るんだね〜」
 
 
 ケタケタと笑いながらそう言う月と一緒に笑いながら「確かに」と返した。
 先生は欠伸をすると眉を顰めて腕を組んだ。運動会でもいつもと変わらない様子の先生に私たちはさらに笑った。