「あの」
グラウンドに再び歓声が沸いたと同時に、藤堂先生が口を開いた。
驚いて先生の方に顔を向けると先生も視線をパソコンからこちらへと移したので、慌てて視線だけ窓の方にうつした。
「…そんな気まずさを前面に出さないでくださいよ。いくら人の気持ちに疎い私でも気付きます。」
そう言う先生は困ったような、見たことのないような顔をしていた。
咄嗟に先生のことを思って気まずい訳ではない、と訂正しようとしたものの、純粋なわたしはうまく嘘をつくことも出来ずに、ただ「…すみません。」と静かに呟いて俯いた。
そんなわたしに先生ははあ、と深くため息をつくと「まあ理由は粗方わかりますけどね。分かり易い井上さんの事ですので。」と言ってまたパソコンに向かった。
冷たい言い草に、どことなく傷つきながら無言で机に向き合うと、「だって。」と自然と声を出していた。

