あの日溺れた海は、




「『ペスのだいぼうけん』?なあに、これ」
 
 
 いつかの木曜日。今までだったらスイミングスクールに通っていたのに今は何も無くなってしまったから、時間を持て余したわたしは、父の書斎にこっそりと入って探検をしていた。


出版社で働く父の書斎は何やら難しい本が本棚にぎっしりと詰められていて、それでは足りず、床の上に積まれた本がいくつもあった。


その山の中の一つの1番下のやけに色褪せた本を取り出すと本をめくった。


字が大きく、挿絵もルビも付いている、どうやら児童文学のようだった。


今まで本なんて読んだこともなかったが、どうにかして時間を潰せないかと考えていたわたしはなんの気無しもなくページをめくり読んでいく。