お母さんはおばあちゃんの家だし、お父さんだって仕事を抜け出すことなんてできない。
そこまでしなくたっても、家に帰るくらい、どうってことないだろう。
「大丈夫です。…っ」
そう安易に考えて、大丈夫だということを証明しようと勢いよく立ち上がれば脚に鈍い痛みが広がって思わず顔を顰めた。
「大丈夫じゃないじゃない」
そんな私を保健の先生は呆れた顔で言い放った。
「きっと、湿布でも貼れば治ります。…それに、今日お母さんもお父さんも忙しくって。」
そう俯きがちに言うと、保健医は深くため息をついて、観念したかのように口を開いた。
「…わかったわ。今日は早退して。その感じじゃ教室も行けないでしょ?家まで送るから、一旦そこに座って。」
降参、と言わんばかりの表情でわたしに元々座っていた椅子に再び腰掛けるように促した。
「…って言ったものの、私これから会議あるんだった。…えっと〜…井上さんって5組だったわよね?」
わたしが「はい。」と答えると、保健医はファイルを取り出して、中を確認しながら、「お、よし」と呟くと、誰かに電話をかけ始めた。

