あの日溺れた海は、

「今日は雨降るみたいだけど、お母さんお婆ちゃんの家に行くから、駅までお迎えに行けないけどごめんね。」


 ある日の朝、お母さんがテレビの天気予報を眺めながらそう言った。


いつも雨が降っている時は、暗いし心配だからと駅までお母さんが迎えにきてくれることが多かった。

しかし最近はおばあちゃんの体調が良くないみたいで、こう言われることも慣れていたわたしは
、はあい。とまだ寝ぼけた声で答えると、食器をシンクに片付けた。
 
 

 
 
お母さんが言っていたように4限目が始まって少しするとぽつりぽつりと雨が降り出した。

運動場で体育の授業をしていた生徒がわらわらと昇降口に向かって行くのをみながら、傘持ってきてよかった、などと呑気に考えていた。
 
 
 
昼休み。ご飯を食べ終わると、わたしは図書室に借りた本を返しに向かった。

2階にある教室から3階にある図書室までは少し距離があり通うのが億劫だなと思うこともあるが、大好きな本を好きなだけ読むことができるのは幸せなことだった。


今日も返したほんと引き換えに新しく借りた本を胸に抱えて、るんるん気分で教室へ戻っていた。


図書室を出て、2階へおりる為の階段に足をかけたその時。




後ろから強い衝撃で押された。