あの日溺れた海は、


 急に名前を呼ばれてびくりと肩を震わせる。声がする方へ振り返るとそこにはおじいちゃんが立っていた。
 


「あ、あの、日直なので藤堂先生にプリントもらいに…」
 


「ああ、井上さんが今日の日直だったねえ。藤堂先生ならいつもここじゃなくて数学教科室にいるよ。」
 
 
そう言うおじいちゃんにわたしは一気に脱力した。
このぐるぐると葛藤をしていた時間は何だったのだろうか。

ふう、とため息をつくとおじいちゃんにお礼をして教科室へ向かった。
 
 
 
そんな教科室の前でも職員室でのデジャブのような往復を繰り返して、ようやく意を決してドアを開けた。