あの日溺れた海は、


「何かあっただろ」
 
 
そんなわたしの様子に、いち早く違和感を感じたのか、ストレートにそう聞く亮に、わたしは少しためらいながらも「あのね、」と話し始めた。




「合宿に、藤堂先生も一緒に行ったこと、言ったっけ?それでね、藤堂先生とみんなとで撮った集合写真を、藤堂先生にも渡したの、そしたらね…いらないって…。」



そこまで言うと胸が苦しくなって、これ以上言葉を続けると涙を流してしまいそうで慌てて止めた。



「そうだったのか。ひどいやつだよな、いらないなんて。」
 


「うん、でも、合宿中は優しかったんだよ。アイスも奢ってくれたし、ジュースも、それに、"悪夢"を見た時も…」
 

そう言った途端に亮が「大丈夫だったのか!?」と勢いよくこちらを見た。
そんな亮に「大丈夫。」と返した。


「先生がね、助けてくれたの。」



そう亮を見上げて言うと、亮はなんとも言えない顔でこちらを見下ろしていた。
心配をしているのか、先生が助けてくれたと聞いて安堵したのかそれとも─