あの日溺れた海は、


 
「お、はな、やっと来た。」
 
 昇降口へ着くと携帯をいじりながら靴箱にもたれかかっていた亮が、こちらへ気づくなり手を上げた。
 
「教室飛び出してくから急いで俺も追いかけたのにさあ、見失ったと思ったらまだ靴はあるし。」
 
 
携帯をポケットにしまうと亮は自分のスニーカーを取り出して履く。


「別に待ってなくたって良いのに。部活は?」


わたしも同じようにローファーを履くと亮の後ろをついていく。


「部活は今日は休み。こういう時くらい一緒に帰っても良いだろ。」


そう言って亮は歩みを遅めてわたしの隣に並んだ。


「そう。ならいいけど。」

そう言ったわたしの声が思ったよりも素気なくて、自分でも驚いた。亮に当たり散らしてるような気がして、さらに苛立った。