「あの…「そういえば、」
ようやく勇気を振り絞って言い出そうと口を開いたと同時に、先生の声が重なる。あ、えっと、なんていう気まずい空気が流れたけど、先生はわたしに先に話すように促した。
しかし一度勢いを失った言葉は思うようにうまく出てこず、再び沈黙が流れた。
先生がバックミラーで不思議そうな顔でこちらを見た気がした。
そしてとうとうわたしの家の前に車が止まってしまった。
「あ、ありがとうございます」
わたしはそうお礼を口にしたが、心の中で葛藤を続けて動くことを躊躇していた。
一向に下りる気配のないわたしを不思議に思ったのか、先生が振り向いた。
それと同時にわたしは後ろから手を差し出した。

