翌日

仕事が終わるまでソワソワした



ちゃんと迎えに来てくれるのかな?

迎えに来るって、どこに?

会社出たらいるのかな?

それともアパートの方に?



仕事終わり

ひとりで会社から出て

キョロキョロした



来ないとか、ないよね?



「山咲…じゃなくて、澤村さん」



振り返ったら

樽崎くんがいた



ヘルメットを持ってた



「バイクだけど大丈夫?」



「ん、うん…」



バイクなんて

乗ったことないから

緊張した



「ここ、足置いて…」



「うん…」



ヘルメットをかぶって

樽崎くんの後ろに乗った



「ちゃんと………」



「え…?」



ヘルメットでよく聞こえなかった



「ちゃんと、掴んでて!」



樽崎くんが

私の手を引っ張って自分の腰に巻きつけた



こんなに

ちゃんと?



樽崎くんの背中に

私の身体が密着した



樽崎くん

大きい



こんなに大きくなったんだ



私の中には

まだ中学生の時の樽崎くんの方が

たくさんいる



夕方の少し渋滞した道路を抜けて

裏道に入った



風をきって

懐かしい道



通学路

公園



見馴れた風景

そこを樽崎くんとバイクに乗って走ってる



不思議な気持ち



同じ世界にいるって

また

錯覚する



あ…

樽崎くん

彼女いるんだった



いいのかな?

こんなにギュッて掴まって



バイクのスピードが緩まって

家の前に止まった