この恋は、『悪』くない。


「澤村さんコーヒー入れてよ」



外を見てたら声を掛けられた



「あ、はい…」



森谷さんだった



いつもは自分で入れてるのに…



森谷さんが

バリスタの前まで一緒について来た



それなら自分で入れればいいのに…



きっと私の

返事を待ってる



「この前の話なんだけど…」



「はい…」



「待っててもいいの?」



「…」



すぐに答えられなかった



「この前、返事がない時点で
澤村さんの気持ちは
なんとなくわかったけど
待ってたら見込みあるの?

そのままスルーされるのが
1番嫌かも…

だから、Noでも
ちゃんと返事ください」



「はい…」



最後の敬語から

森谷さんの

真剣さが伝わってきた



森谷さんは

真剣に

私のこと考えてる



Yesでも…

Noでも…



今まで付き合ってきた人は

Noって言うのが難しくて

Yesを選んでただけかもしれない



Yesだったら

相手を傷付けないから



でも返事しないのは

1番相手を傷付けてるのか…



森谷さんに今言われて気付いた





あの時の返事

してない



山咲のこと、好きかも…



樽崎くんに

ちゃんと答えてない



あの時の記憶が蘇った



あの後

樽崎くんは

学校に来なくなった



私のせいだったのかな?