この恋は、『悪』くない。


「樽崎 晴輝」



卒業式で名前が呼ばれて

やっぱりいたんだよね…って実感した



返事はなく

当たり前のように

次の人の名前が呼ばれた



4月から私は高校生になる



樽崎くん

工業高校に行くって言ってたよね

どぉしたかな?



高校生になれるかな?

元気かな?



アメオ

元気かな?



「アメオーーー!!!」



卒業式の日は雨で

公園にはもちろん

アメオの姿はなかった



アメオ

冬はどぉしてたかな?



誰かいい人に拾われて

幸せなら

それでいいや



大きくなったかな?



私の腕の中で

ビー玉みたいな目を
クルクルさせてるアメオを

思い出した



そぉ言えば

樽崎くん

制服小さそうだったな…



きっと学校来てたら

今頃もっと小さくなってたかな?



制服が小さくなるんじゃなくて

樽崎くんが大きくなってるのか…



アメオを撫でながら

樽崎くんが言った言葉が

今でも耳に残ってる



オレ、好きかも…

山咲のこと、好きかも…



制服のボタン

余ったらもらう約束もしてたっけ?



アレは

冗談だった?



きっと

全部

冗談だった



フ…



樽崎くんの笑い方を思い出した



きっと

揶揄われてたんだ





樽崎くんに言われて

コンタクトにしたのにな…



私も

好きだったかも

樽崎くんのこと



恋をしたのは

私だった



私は

冗談じゃないよ



フ…って笑ってよ

樽崎くん



冗談言うなよ!って

言ってよ