この恋は、『悪』くない。


「なぁ、アメオ…
オレ、好きかも…」



アメオを撫でながら

樽崎くんが言った



ニャーニャーニャー…



樽崎くん

アメオと話せるのかな?



そんなわけないか…



「山咲のこと、好きかも…」



え…



すぐ前にいる

樽崎くんから

私の名前が出て

息が止まった



アメオから

顔をあげた樽崎くんと

目が合った



アメオが樽崎くんから私に渡された



ニャー…



樽崎くんの手が

私の頬に触れて



頬が温かくなって

異次元じゃないんだ…って

映画じゃないんだ…って

実感した



「山咲、こわい…?」



「ん…んーん…」



頷きながら

ゆっくり息をした



私の頬に触れる

樽崎くんの手も

樽崎くんの言葉も

優しかった



樽崎くんの気配が

近付いて

咄嗟にギュッて目を閉じた



すぐ近くに樽崎くんがいる



動いたら

触れる



腕の中のアメオを

ギュッて抱いた



「やっぱり、こわい…?」



樽崎くんの言葉が

直接唇に伝わってくるくらい

近い



また

息が止まる



「ん………うん…」



触れないように

必死だった



頷いたら



樽崎くんの手が

ゆっくり

私の頬から離れた



「ごめん…」



そっと目を開けたら

樽崎くんの後ろ姿が見えた



樽崎くん!



呼び止めたかったけど

声にならなかった



嫌われた?





こわいわけじゃなくて

どーしたらいいかわからなかった



やっぱり

樽崎くんは

異次元だ



アメオにキスした

樽崎くん



オレ、好きかも…

山咲のこと、好きかも…



アメオに

そう言ったよね?



え…



樽崎くん

私にも

キスしようとした?



そう思ったら

急に

熱くなって鼓動が早くなった