この恋は、『悪』くない。


「あ、山咲
CD持って来た」



「ありがとう」



ニャー…



公園で樽崎くんから

CDを受け取った



今日も樽崎くんと

公園にいる



「本まだ読めてなくて…」



「うん、いつでもいいよ」



ニャーニャー…



「ヨシヨシ…アメオ…
待ってた?」



私の足元にカラダを寄せるアメオを抱っこした



「フフ…アメオくすぐったい
ちょっと重たくなったね
かわいい♡アメオ」



「山咲、いつもアメオとはいっぱい話すよな」



「え…あ…」



樽崎くんいるの忘れてたわけじゃないけど

アメオとイチャイチャしてた自分が

急に恥ずかしくなった



「かわいがってくれて、ありがと」



「樽崎くんの猫なのに、ごめん…」



「別にオレのじゃない
オレのにしたいけど飼ってやれないし…」



ニャー…



樽崎くんが

私の腕の中のアメオに



キスした



ーーー



綺麗



映画を観てるみたいだった



アメオの毛並みが西日に照らされて

綺麗に透けた



学ランの樽崎くんが

眩しそうに目を細めた



すぐ目の前にある

異次元から

目が離せなかった



ニャー…



「ハハ…アメオかわいいな」



樽崎くんがクシャって笑った



美しいものは

崩れても

綺麗で



その笑顔に

私は

また見惚れてしまった