この恋は、『悪』くない。


「ちょっと、山咲のメガネ貸してよ」



「え?」



「メガネ掛けたら
どんなふうに見えるのか、見てみたい」



「え、でも、私すごく視力悪いから…」



樽崎くんが

私のメガネを取って掛けた



「すげー!よく見える!
違う世界にいるみてー」



私はぜんぜん見えなくなった



樽崎くんがボヤける

顔がのっぺらぼう



「へー、山咲って
いつもこんな明るい世界にいるんだ

で、思ってたよりずっと可愛んだな」



「え…」



「フ、ハハ…
もしかして、ぜんぜんオレの顔見えない?
焦点合ってない」



「う、うん…」



なんとなく見てるけど

目が合ってるのかもわからない



「見える?」



樽崎くんが近くなった



メガネをかけた樽崎くんが

目の前に見えた



「え、うん…」



慌てて後ろにさがった



「山咲、コンタクトにすればいいのに…
まぁ、どっちでもいいけどね」



メガネが戻ってきて

樽崎くんがよく見えた



「メガネでもコンタクトでも
山咲は山咲だし…
楽しければ、どっちでもいい
オレ、山咲といると、楽しい」





目だけじゃなくて

耳も悪くなったかな???



恥ずかしくて

樽崎くんと距離をとった



メガネがないと

ボンヤリ樽崎くんが見えて



メガネが戻ってきても

今言われた事が

ボンヤリした



耳が熱くなって

ボーッとする